「 55歳からの一番楽しい人生の見つけ方 」(川北義則)を読んで
感想文:大阪営業所 高橋裕樹
50代も半ばを過ぎれば、定年が視野に入ってくる。
定年後をどう生きているかは、それぞれの生活の仕方にかかっているが、在職中のいままであった社会的地位、仕事、人間関係がなくなることだけは確か、このギャップは現実的になってくると、想像していた以上の大きな差である。
在職中のこの三つがなくなることは、いわば、「引きこもり」の人間たちと同じ条件といえる。定年後、そんな「引きこもり」たちと同様、家の中に閉じこもってしまうか、あるいは自由に外に出て、さまざまな遊びに興じるか、はたまた新しく仕事を始めるか、それぞれの生き方がある。
とにかく自由人となったあなたの本当の人生は定年後から始まる。
年がいもなく遊びほうけるのもいい。年齢とともに、体力的に多少ガタがくるのは当たり前。だが、そこからが面白い。何をやってもいい。
年を取ると、健康にも気を使うようになるが、やれ健康診断だ、サプリメントだなどと目の色を変えるのはやめたほうがいい。健康的に生きるのはいいが、健康のために右住左住するのは、かえって不健康だ。70歳を過ぎたら健康診断なんかはやめたほうがいい。診断を受けるから、おかしな箇所が見つかる。診断を受けなければ何も気にすることはない。後は成り行き任せの人生でいいではないか。
約40年間働いてきた労働時間と、定年後80歳までの20年間の自由時間とは、ほぼ同じである。他人に迷惑さえかけなければ、何をしようと自由気ままな時間がいっぱいある。何もあわてて定年後の人生設計など立てる必要はない。時間がたっぷりあるうえに、仕事をしなくても、年金というお金が入ってくる。長いサラリーマン生活のなかでも、何もしなくてお金が入ってくることはなかった。もちろん、現役時代、給与の中から社会保険料や税金などは引かれていたが、生活はその差し引きでやっていたから、定年後の年金は、いわば「捨てぶち」という考え方もできる。誰でも少しは老後のための預金もしていたはずだが、金額の多寡はあれ、2か月ごとに入金される年金はありがたい。
定年後こそ、誰にも遠慮することのない「自分が主人公」のときである。
2023.2.28.