「 行動の心理術 」 を読んで
感想文:大阪営業所 橋本廣明
ある動物心理学者がユニークな実験を紹介しています。
犬とニワトリに餌を与え、食べようとした時に、棒で頭をコツンと叩きます。犬の場合、2,3回これを繰り返すと、餌に近付かなくなりました。いっぽうのニワトリは、何度叩かれようとも、めげずに、諦めずに、何度でも餌を食べようとチャレンジしてきます。犬のほうが、学習能力が高く、賢い動物なのでしょうか。ニワトリは本能のままに動くだけなのでしょうか。生きることに立ち向かう健気な生き物なのでしょうか。そんな簡単に片付けられるものでしょうか。
生きるために多少の困難が立ちはだかるのは、人も同じです。ミスをしてしまった。些細なことで争いごとを起こしてしまった。ちょっと苦手な人がいる。それらをいちいち憂えていたら、気が滅入ってしまいます。無難な人生を送っている人などこの世にはいません。誰もが、大なり小なりトラブルや不安を抱えています。
動物のように、外敵に食われるような、過酷な状況に置かれていることを考えれば、何か困ったことや不快なことが起こったとしても、叩かれてもなお餌に食らいつくニワトリのように、図太く能天気になる多様性をもって事にあたれば、多少のことには動じなくなり、チャンスを手にする確率もあがります。人が身を守る大きな武器にもなりえます。ニワトリ曰く、敵は己の中にあり。
2020.6.30.