「若き社会人に贈ることば」(松下幸之助氏)を読んで
感想文:大阪営業所 橋本廣明
紙1枚にしても、それを深く考えない人は、無造作に捨てて顧みない。しかし、たとえ紙1枚にしても、その裏にひそむ、そのものの値打ちに思いをいたすならば、なかなか平気で捨ててしまうことはできない。「米一粒の天地の恩」ということもそれと同じことであります。
素直な心というものは、単に人に逆らわず、従順であるということではなく、何ものにもとらわれることのない、偏らない心であり、また物事の真実を見極めて、これに従おうとする心のことです。
長い人生においては、もちろん将来に対する綿密な計画を立てて進んでいくことも、たいへん結構なことです。ただ、人生は、なかなか計画通りにいかないことが多い。ですから、日々の生活に全身全霊を打ち込んで、充実した毎日を送ることが大切ではないのかと思うのです。こうしなければどうなるとか、私たちは、とかく目先のことにとらわれがちです。しかしそういうふうにして考え悩むよりも、その日その日を充実させていく、仕事に徹し、努力を積み重ねていくことを勧めます。あとは大船に乗った気でいる。そういう風な度胸をもつ、そうしたならばきっと道はひらける。と信じていいとおもうのです。やるだけのことを誠心誠意をこめてやる。そうすれば、どんな場合にも、慌てる必要もなければ、悲観したり、苦しんだり、不平を言ったり、憤慨したりする必要もないと思うのです。何に携わっていようと、そこにあなたの使命感をもち、それに没入することです。あなたの喜びはそこに生まれ、あなたは安定し、そして幸せをつかむことができるでしょう。決して慌てることはない。恐ろしいのは日々なすべきことをおろそかにすることです。
ピシッとやるべきことをやっていけば、時とともに道はひらけてくるはずです。私は、人間はすべて、そのようにつくられているのだと思う。それは、長いあいだ、こうしてやってきた私の結論の一つです。
2018.3.30.