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小説 「ぶたぶた日記」 を読んで

 感想文:東京支店 千須和智

 この小説は、ブタのぬいぐるみとそれを取り巻く、とあるエッセイの講座を受講した人間同士の心の変化を題材にしています。
 主人公のブタのぬいぐるみは、普通に話しをし、人間よりも人間らしい考え方をする人物です。彼を初めて見た周りの人間はとてもびっくりしていましたが、彼の親しみやすさや明るさが講座を受けていた受講生の心に抱えている不満を晴らせていきます。
 高校を退学した女の子、会社帰りのあまった時間で受講してきたOL、定年後の趣味に受講した年配の男性、リストラされそうなサラリーマンなどです。
 この講座を受講した人々の共通していることというのは何となく漠然としたものであるということです。それが、ブタのぬいぐるみがその講座に人間よりも一生懸命取り組み、周りの人は忘れていた情熱を取り戻していくといったストーリーです。
 私は正直最初、読み始めた時は設定に感情移入しづらいと思っていましたが、自分が一番不幸だと思い、周りの物事や人々を気にかけることができていなかった人間に対し、このブタのぬいぐるみは常に周りの人間のことを気遣ってくれる人物であることに、魅了されました。
 人のために動くことは簡単のようでもなかなか出来ることではありません。
私自身、常に心がけているつもりでも出来ていない場面が多々あります。悩んでいることやうまくいかないことがあると特に他人には構っていられないという感情に陥りがちです。   しかし、仕事においても、逆に得意先の立場になって考えることが営業には必要だと思いますし、今の自分にとてもあてはまることではないかと思い気付かせてくれた書物ではないかと思います。
 この書物を読んで改めて、人に対する気遣いや思いやる心を持つということを考えさせられました。

2016.3.31.


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