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トップの提言〜ものの考え方〜

「心を高める 経営を伸ばす」(稲盛和夫著)を読んで

 感想文:河合孝一郎

 わが社の社長は「私は営業兼、総務兼、人事兼、お茶くみ兼、トイレ掃除兼、社長です」という。会社のことは何でもできる。だから逆に「あなたがやるべき仕事をしないなら、私が代わりにやります。そのかわり、あなたの給料は私が頂きます」と自分の役割を果たさない社員は言われることもある。
 稲盛氏は若いころ日露戦争の乃木希典と大山巌のエピソードを聞いて「リーダーは後ろにいては駄目だ。とにかく自分は前へ行って、みんなと一緒に苦労しなければ」と思ったそうだ。仕事をする上で、部下やまわりの人々の協力を得るためには、率先垂範するリーダーでなければならない、という。これを常に心がけ実行することによって自ら高めていくことができる。上に立つ人はもちろんのことすべての人が率先垂範する職場風土をつくりあげなければならない、と語る。
 私たちの社内ではどうだろか。切れた蛍光灯を取り替えたり、トイレを掃除したりという仕事は誰かがやらなければならないことだ。率先垂範する人はそれを自分の仕事だと思い、誇りを持ってやっている。会議の机を移動するのは総務の仕事かもしれないが誰かがやらなければいけないのなら自分であってもいいわけだ。郵便配達された書類を受け取るのは誰か、出荷の担当が休みがちならどうか。誰かがやらねばならないなら、自分であってもよいわけだ。あなたであってもよいわけだ。
 この本は実は私たちが毎朝勉強している京セラフィロソフィーと全く同じ内容である。一般の人はフィロソフィーの本をなかなか手に入れることができないので代わりにこの本を手にいれる。京セラフィロソフィーはすべての経営者、ビジネスマンにとって完璧な手本の書である。稲盛氏は石をひとつ、ひとつ積み上げるようにして自分の経験からこれを創った。だから何を読むか迷うならばこれ一冊だけ読めばよい。
 これは稲盛和夫の書いたものの中で最高傑作ではない。これは世界中、すべての思想家、哲学者、経営者が書いた本の中で最高なのだ。 

2013.07.31.


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