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トップの提言〜ものの考え方〜

「腸内革命」を読んで

 感想文:橋本廣明


 日本では毎年3万人以上の自殺者があり、先進国の中でも自殺率が際立って高く、人口に占める自殺率は先進G7で第一位となっている。経済的な理由、そして”うつ病”が増えている。その対策として、ドーパミンは、脳に歓喜、快楽、興奮といったメッセージを伝える働きがあり、その働きにより、幸せ感が増幅される。
 キレる大人が増えている社会現象は、自分自身の気持ちや体をコントロールするセロトニンが減少している。「幸せ」な時間とは正反対であり、セロトニンの分泌が十分な状態であれば、心身のコントロールが可能となり、怒りとは無縁の「幸せ」な時間が持てるようになるとしている。
 人の消化を含めた内臓のしくみは、雑食動物である豚に似通っており、乳酸菌を与えると、病気がちの豚が元気になり、肉質も良くなった。さらに何より目立ったのが、豚が神経質に鳴いて騒ぐことがなくなり、とても大人しくなった。
 乳酸菌が「幸せ物質」であるドーパミンやセロトニンという脳内の神経伝達物質の前駆体を作り、脳に送られた結果としている。脳はすべての化学物質をガードして、外からの侵入を防いでいる。しかし乳酸菌が作った小さな前駆体は、血液脳関門であるblood-brain-barrierを通過し、脳に運ばれている。
 セロトニンとドーパミンはともに、食べ物に含まれる必須アミノ酸に、腸内細菌がなければ合成できない。そして腸内細菌がなければ脳に送れない。ゆえに幸せになるためには、腸内細菌を増やすことを心掛ける。腸内細菌は好んで食物繊維を食べているので、野菜や豆類、海藻類などの食物繊維の摂取量が減っている日本では自殺やキレる大人が増えている。
 現代のストレス社会を乗り越えるには、脳を休め、脳をリフレッシュさせるだけの「ストレス解消法」では不十分であり、脳に幸せ物質などの神経伝達物質を送っている腸に重要なカギがある。腸には免疫の大半が集中しており、元気な体を作り、幸せ物質が満ちたりて、ハッピーな気分になれる要素が詰まっている。脳がすっきりして、前向きにことにあたり、平和な社会が続くことを願っています。

2012.1.6.


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