「信じられるかどうかではなく、信じると決めた」
マクドナルドの元No.1店長の鴨頭嘉人(かもがしら よしひと)氏のこの言葉
「信じられるかどうかではなく、信じると決めた」にまつわるエピソードをお届けできればと存じます。
私にとって、鴨頭氏のこの言葉は、他人との信頼関係を考え、上司としての自分の姿勢を問う上で、グサリと刺さった言葉です。鴨頭氏はマクドナルド全3400店舗中、お客様満足No.1、従業員満足No.1の店舗を作り出した方です。その実績が評価され、最年少でエリアマネージャーに昇進されています。指導エリアは、全国でも最激戦区の東京。その中にあって、異動してわずか1年で、売上・利益の伸び率全国1位を実現されました。その業績を高く評価され、全世界のマクドナルド社員の中でも優秀な社員としての表彰を受けています。
さらにさらに、マクドナルド現社長の原田氏から、「現場の意見を聴きたいから、鴨頭を経営会議に呼べ!」と、名指しでお呼びがかかるほど、社内的にも認められていました。マクドナルドの経営会議は、役員でない社員は絶対呼ばれない会議だそうです。まさに異例な方ですね。
そんな鴨頭氏ですが、店長時代には、大失敗を経験されています。鴨頭氏が店長として初めて着任した店舗は、アルバイトスタッフが勝手にハンバーガーを作り、タダで食べるようなモラルの低いお店でした。中には、お店の金銭に手をつけるような者もいたため、鴨頭氏は徹底的にチェックし、指導し、叱責しました。時には行動が直らないアルバイトはクビにもしました。なぜなら、鴨頭氏曰く、「信じられなかったから」だそうです。それでモラルが高まり、業績があがったかというと…アルバイトから猛烈に反感をくらい、店舗の業績は低下…鴨頭氏は、別の店舗に異動させられることになったのです。
その送別会の際、お店でたった一人、鴨頭氏に味方してくれたあるアルバイトが、「店長は…、本当にみんなに伝えたんですか?」と言ったそうです。鴨頭氏は、自分が正しいことをすれば、正しいことを言えば、みんなついてきてくれると思っていたのですが、実際はそうではなかった。
この失敗から、“他人を変えようとする者、得ることなく崩れる”という教訓を得た鴨頭氏は、次の店舗では他人を変えるのではなく、“自分が変わる”ことに集中し、決意したそうです。
「信じられるかどうかではなく、信じると決めた」『7つの習慣(R)』にも書かれていることですが、こちらが示す“相手への信頼”こそが、信頼残高の大きな預け入れになるのです。鴨頭氏は次の店舗では、アルバイトにも店舗のビジョンを本気で共有し、業績などの情報もすべて公開しました。そして、アルバイトからアイデアを募り、どんどん承認し、任せていったそうです。その結果、アルバイトのアイデアから取り組んだことが大成功を収め、マクドナルド全社の施策として全国に展開される。そんなことが連発したそうです。自分のアイデアが採用され、仕事を任される。成功したら、マクドナルドの全店舗に展開され、全社の業績に貢献できるかもしれない…。アルバイトスタッフは目を輝かせ、イキイキして仕事をしたそうです。その姿は、まさにアルバイトスタッフが全員、店長然としていたそうです。そんなお店ですから、もちろん業績もアップし、全国No.1のお店として表彰されたそうです。“信頼する”たったこれだけのことで、変わったのです。
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メール読みました。
鴨頭氏が他人を変えるのではなく、自分が変わる決意をしたというところでは、社長もお話される、易不易(他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる)を思い出しました。正直なところ、私は部下全員を信頼する事はできていません。むしろ信頼できていない人の方が多いかもしれません。しかし、このメールを読んで、自分が最初から、「こいつは信頼できない」と思い込んでいるだけではないのかと感じました。自分が信頼しない相手が、自分の事を信頼してくれるはずもありません。
私も自分から信頼するんだという気持ちを持ち、これまで信頼関係を築けていなかった人達とも良い信頼関係を築き、フィロソフィーを共有し、会社の利益に繋げていきたいと思います。また、アルバイトのアイデアを採用するという話ですが、わが社にもチョコ案がありますから、これをもっと有効に活用し、末端の意見をよく把握して、改善・改革を図っていきます。
2011.8.22.