第27番札所神峯寺は高知県安芸市神峯山中腹標高450メートルに位置します。車道が整備されるまでは、傾斜角45°の急勾配を伴う長い坂道を登らねばならず、大変な難所とされていました。
神峯寺は、神功皇后が三韓征伐の際、勝利を祈願して天照大神などの諸神を祀ったのが始まり。後に行基が自ら十一面観音を刻んで安置。大同4年(西暦809年)弘法大師が訪れ四国八十八ヶ所霊場に定めました。
鐘楼の裏手には「神峯の霊水」と呼ばれる石清水が湧いており、病気平癒に霊験あらかたであると言い伝えられています。舗装されていない山道を歩き疲れた昔のお遍路さんにとっては、まさに命の水だったことでしょう。
本堂から大師堂への途中には迫力ある不動明王像があります。不動明王は密教の根本尊である大日如来の化身とされ、煩悩を抱える最も救いがたい衆生をも力ずくで救うために、憤怒の姿をしているそうです。「小善似大悪 大善似小悪」という言葉を思い出しました。
(寺田)